飽食暖衣

飽食暖衣
■今日のことば
飽食暖衣 「ほうしょくだんい」と読む。暖かい衣服を着て、飽きるほど食物を食べる。安楽にくらすこと。暖衣飽食ともいう。
用例ー暖衣飽食に慣れている日本人は、この地球上に飢餓に苦しんでいることなど、とかく忘れがちである。というように使う。現代の日本人にぴったりのことばだ。
さてこの語源をさかのぼると、「小学」にある孟子のことばに「飽食暖衣、逸居して教なければ則ち禽獣に近し」とある。これは、食べたいだけ食べ、着たい服はタンスの中にたくさんあり、暇を持て余してぶらぶら暮らし、ただそれだけで教育がないとすれば、その人間は禽獣(本能に赴くままのけだもの)に等しいものだ。
孟子のいう「教」とは今でいうと「徳育」にあたるだろう。数千年前の青少年にたいする心配ごとだが、現代にもそのままあてはまる。仕事もしないで親元で悠々自適に過ごし、しまいに親に八つ当たりして、しまいには親を殺してしまった事件は後をたたない。
徳育を最大の教えとしていたのは、徳川の江戸時代だったろう。しかしこの時代は知育に欠けていた。今は知育のみで、徳育がなされていない。この結果過去の時代以上に上記のような事件が多く繰り返す。私も戦後生まれだが、知育偏重の受験競争に明け暮れた青春時代をおくり、今その徳性が欠けていたのに気づき、老子や孟子、孔子といった歴史上の人物から徳性を学んでいる。
家庭も学校も「禽獣」を養成しているような甘い教育ではいけないと思う。徳性の涵養こそ今求められている気がしてならない。論語イコール軍国主義と結びつけるような、間違った価値観を払拭せねばこの問題の解決には程遠いだろう。ちなみに孔子の論語は軍事ぬきの人の生き方をのべた大変すぐれたよみものだ。知育と徳育のバランス感覚を教育の中で発揮してもらいたいものだ。

■■後記
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by 1too | 2008-08-28 15:40 | 文芸  

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